ことはじめに

「初心忘れるべからず」

の花伝書を記した観阿弥世阿弥

 

観阿弥世阿弥

ある演目を演じていた。

きこりの動作をする場面がある。

観客としてそれを観ていたきこりが言う。

「その、動きはおかしい」

「ほんとうの動きではない。」と。

それからというもの、彼らはきこりのところに数ヶ月もの間弟子入りする。

こうして、そのほんとうの所作を学ぶ。

 

それぞれのひとが、それぞれの場でことに打ち込んでいる姿が美しい。

観阿弥世阿弥でさえきこりに習ったはずなのに、

今では、きこりが芸能人のまねをしようとする。

だから、無理が生じてしまう。ときにおかしなことになってしまう。

自分の置かれた場で、自分のことを一生懸命にやる姿は尊いです。