正座
「あけましておめでとう」の挨拶を立位で済まそう。
遠くの声のと届かないところで、手を振って下さった方がいて、
近づいていく最中にふとそう思った。
近くに寄って、会うや否やサッと正座をなさり、
私は、「ああっ」と息をのんだ。
その方は、若い頃から棒術や合気道を習得し、
禅の修行道場に数年住み込んでいらっしゃったこともある。
私は、昨年少し茶道を習った。
毛氈(もうせん)から24センチのところに膝がくるようにして、
膝と膝の間はくるぶし一つ半あけて、軽く上体をのせて正しく座る。
手は膝の真上。手の指先から足の先まで神経をいきわたらせて静態する。
おじぎする時は、両手を軽く毛氈の前でそろえてつき、上体ごと腰から前に
曲げる。頭は毛氈から24センチのところで止める。
この動作を、この方が美しく行った。
「こんなきれいなおじぎ見たことない。」そう思いました。
一つの挨拶を大切にできるってたいへん素晴らしいことです。